今までで代表に言われたポイント。
いくつかあるけれど、実際に調査に入ってみるとよくわかる。
なんやかんや言っても、それなりに経験を積んでいるし、口だけではなかったんだな、と。
ビデオに撮っておくと、その時間や場所があとで明確に確認できて、報告書も作成しやすい。
そして、ぼくの車のダッシュボードに撮りつけられた、手作りのビデオスタンド。
ビデオスタンドと言っても、そんな立派なものではなく、100均に売っている文房具を工夫して組み合わせたり、解体して欲しい部材だけ使ったりして、ちょっとした回転台のようなものを作ったのだ。
それにビデオカメラをセットできるようにして、車から撮影する角度を前と左右、ちょっと上下できるようにしたもの。
これも代表が作ったものを元に作ったんだけど。
それと、ビデオカメラそのものを見えにくくし、車の外から見ると、ただの飾りというか車のインテリアみたいに見えるようになっている。
さすがに、撮影してますよっていうのはまずいだろうから。
これさえあれば、一人での調査も、少しは気が楽になる。
車の中には、ジャケット1枚と、替えのTシャツ数枚。
1枚羽織るだけで、ずいぶんと雰囲気が違ってみえるし。
ときどき、会社帰りにちょっといい店に入られても、服装が気になって調査の気が散るってことも防げるし。
夏は、着替えのTシャツとタオルは欠かせない。
場所によっては、窓を開けただけの車内で、エンジンをかけられない状況になることもあるので、汗が尋常じゃない。小さなクーラーバックに入った保冷剤と水で熱中症を防ぐ。
調査に一度入ってしまうと、どういう状況になるかは行ってのお楽しみっていうところもあるから。
その他にも、ハサミ、ビニールテープにビニールひも、小さなビニール袋なんかもコンパクトにまとめてダッシュボードに入れてある。
その状況を見て、急きょいろんなもので対応することも少なくはないから。
最初のうちは、ちょっとしたことで焦っていたけれど、それなりに経験も積むと、焦ることも少なくなった
毛布も1枚摘んである。
夜中の張り込みだと、思っていた以上に気温が下がり、エンジンをかけたくなることもあるけれど、夜中は昼間以上にエンジンがかけられないこともあるので、毛布1枚でずいぶんと救われるのだ。
前に、車上荒らしにあった人に遭遇してしまった。
ファミレスだというのに、堂々と運転席のドアガラスを割られていた。
裏手の駐車場の換気扇の近くに止めていたので、意外と音も聞こえなかったのだろう。夜だったけれど、それほど遅くもない時間。
正直その堂々とした犯行に驚いた。
そんなところに遭遇すると、見捨てて帰ることもできず、警察がくるまでの間、一緒に待っていた。
相手はまだ若い女の子。
しかもちょっとかわいかったり。
別に急いでいるわけじゃなかったし。
すぐに警察が到着して、事情を説明していたが、これって悲惨なもんだよな。
相手も持っていくものを盗ってしまったら、証拠なんて残すはずもなく、捕まることも期待できないので、結局は自分の保険を使って修理するしかないのだ。
30分ちょっと、現場確認と話しを聞いただけで警察も帰ってしまった。
で、残された女性。途方にくれていました。
しょうがないので、ぼくは車に置いたままの探偵セットで、残りのガラスの破片を取り除いたドアガラスの変わりのカバーをしてあげた。
けれど、シートに飛び散った細かいガラスの破片まではとりきれない。
仕方がないので、後部座席に積んてあった毛布を差し上げた。
それをシートにかけるだけでも、ちょっとはマシだろう。
女の子は必要以上に感謝しながら帰っていった。
こんなときまで探偵セットが役に立つとは驚いたものだ。
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