このタクシー代は出るのだろうか？なんて心配しつつ、気持ちのどこかでは自分がとんでもない現場を押さえるのではないか、という期待がなかったわけでもない。
そして、ようやくたどり着いたその場所は、なんとフィリピンパブ。
ちょっと、気が抜ける思いだった。
確かに駐車場には、あの対象車の姿も確認できる。

一応、ビデオに収めておいたが、それを報告した代表から、あっさりと、“もう帰っていいぞ”と、軽い返答。
迎えにきてくれたツレも。
その場所に驚いたような顔をしていた。
ここに来ていたとあきらかに疑っているような・・・・。
なんとなく、ぼくがむなしいぞ。

あとで、わかったことなのだが、じつはこの対象者。
ここのフィリピンパブのおねえちゃんに惚れこんでいたのです。
国にいる病気のお母さんに仕送りするためにがんばっているという彼女に、店に通うだけでなく、国に送るためのもろもろを買ってあげたり、もしかしたらおこづかいもあげてたんじゃないか、と思うほどの助け方をしていた。

それで、おこづかい以外のお金が欲しくなったようなのでした。
そのうち、人助けのつもりで仕事をまわしてあげていただけなのに、変な欲と知恵が付いていたんですね。
自分の仕事からちょっと仕事を回すだけで、おじさんからマージンをもらえたり、会社よりは安くしたことで、顧客まで喜んでもらえるという、美味しい状況になったみたいです。

自分を信頼してくれている社長の存在すら、このときは忘れていたんでしょうか？
その結果を知った社長も、最初は激怒していたそうなのですが、自分も若かりしころ、外国の女性に入れ挙げたことがあるようで、その理由を聞いて、カレを許してあげる気持ちになったのだとか。

変なところで、共感を持ってしまったんでしょう。
聞いているほうは、ちょっと呆れてしまいましたが。
この社長の人の良さのせいもあったのでしょう。
結局、この営業社員はクビにされることはなく、泣いて謝りもしたのだけれど、今はゆるしてくれた社長のために真面目になって働いているのだとか。

それと、気になっていたぼくのタクシー代。
これもちゃんと戻ってきました。
領収書をとっておいて良かった！！！
なんでも、調査料金以外に、交通費は実費でいただいているのだと、このとき知りました。
ちなみに、フィリピンパブに入って調査した場合、このお金も実費となるみたいです。